奄美<環境文化>教育プログラムのしおり
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美大島在美大島在住奄 住奄 Sさん 「奄美大島は365日のうち370日雨ですよ」というのはおもしろい!ですね。これは奄美大島の特徴をよくとらえていて、奄美大島でないと言えないジョークです。濱田康作さんという写真家がいらっしゃいますが、奄美大島の雨の日の写真をたくさん撮影されています。(たとえば、濱田康作、2000、『奄美―太古のささやき』、毎日新聞出版)このレポートを拝見して、濱田康作さんが、奄美大島らしい色は雨の日の「グレー」だと仰られていたことを思い出しました。 講義でも説明しましたが、鹿児島県は、日本47都道府県の中で、2つの自然、2つの歴史、2つの文化を持つ唯一の県です。鹿児島本土と奄美群島では言葉も文化も違い、お互いに異文化感を感じるわけですが、薩摩藩統治時代から鹿児島文化の影響をさまざまに受け、特に奄美大島北部は、その影響が強いです。 奄美をよく知るためには、奄美のことだけを知っていればよいのではなく、文化的影響を受けている鹿児島本土についても目配りすることが大切です。奄美群島の景観(景色)について、沖縄県の島々のそれと比較した時に、あなたの印象は以下の選択肢のどれに近いですか(1つだけ)。その選択肢を選んだ理由もあわせて書いてください。ⓐほとんど同じで変わらないⓑ似ているところもあるが違いもある ⓒ全然違う(かなり違う)R.5年 | 科目102 |奄美の環境文化の基礎1(自然)  講義で、奄美群島が、南西諸島がどのようにして成立したのか、地史まで説明すればよかったのですが、そのことが4島の世界自然遺産登録にも深く関係しています。奄美群島はよく「東洋のガラパゴス」と評されることがあります。それは小笠原諸島には当てはまりますが、奄美群島には当てはまりません。講義でも紹介した世界自然遺産推薦書の「地史」(85ページ)、博物館ガイドブックの「奄美群島の成り立ち」(122ページ)等をぜひご覧になられてください。ガラパゴス諸島は、火山島の生態系です。奄美群島の景観については、外から来られる観光客や観光業界ではⓐの印象が強いと思います。しかし、緯度が高くなる奄美群島には、やはり沖縄県側の自然景観とは異なる部分が認められますし、何がどのように違うのか、沖縄県と差異化を図ることこそが、奄美群島のブランディング(付加価値化)に繋がると思われますが、いかがでしょうか。 島尾敏雄は、奄美群島のすぐれた観察者、分析者でもありました。大島支庁が毎年発刊している『奄美群島の概況』の以前のものには(たぶん昭和時代)、島尾敏雄の巻頭言が掲載されていました(現在はなくなっているように思います)。悲願の日本復帰を果たし、復興に向けて取り組む奄美群島のみなさん、そして行政に向けて綴られた島尾敏雄の熱いエールのような文章だったかと思います。高梨よく「奄美らしさ」という表現が使われます。「奄美らしさ」について、何でもよいので、あなたが感じているものや、あなたの考え、意見を自由に書いてください。 奄美らしさを改めて考えたことがありませんでした。 私が語れる奄美らしさは沖縄にも言えることかもしれないし、奄美らしさなんだろうかと考えました。 鹿児島から赴任してくる教員の歓迎会を、村の公民館で歓迎会を行うのが恒例の行事になっていますが、その時によく私は「奄美大島は365日のうち370日雨ですよ」と冗談交じりに奄美大島の雨の多さを話していたことを思い出しました。亜熱帯地方で山が深くて湿度が高いのでずっと雨ばかりです。任期が終了し港に見送りに行くときには、「久保さんから話されたあの雨の話が印象的でした」と言われました。 私にとって奄美大島は自慢の島です。 月や星が綺麗に見えるし、野山の草花も生き生きしていて小動物も多く。海に出ると魚もおいしくて。私自身、鹿児島の方からの偏見を時々感じていましたが、確かに私は鹿児島の文化などほとんど知りません。鹿児島県の事も知らないといけないですね。 今回の講義とても興味深かったです。1回の拝聴では頭に入らないので、3回繰り返しました。それでもまだ身についていないので、これからも度々拝聴していきます。R.5年 | 科目104 |奄美の環境文化の基礎3(文化) 久保 智子さん高梨c かなり違う 多くの島々があることや、サンゴ礁、世界自然遺産などの共通点はもちろんあるが、奄美群島の中でも、島によって成り立ちが異なり、山の島と台地の島で、その特徴も大きく異なる。 また、その特徴故に、人々の暮らしにも違いが出てきている。奄美群島でさえ、島々に違いがあり多様な景観をもっているのだが、その観点から見ても、沖縄県とはかなり違うと感じる。その他感想 奄美群島の地名の使い方について、正直全く知りませんでしたし、無意識に使っていたことを恥ずかしく思いました。奄美大島=奄美群島の意味合いで使われた歴史があること、「大島地区」にその名残があることは、なるほどと思ったが、「奄美」という呼称に、奄美大島以外の島々の方々が、奄美=奄美大島と認識なさるということは全く気がつかず使っていた。個人的には、「奄美群島」というと、「日本列島」のような何か地理的な呼び名だと感じていたし、「奄美」は「奄美地域」や「奄美群島のくらし・人々・文化」をひっくるめた「日本」「鹿児島」に呼応するような呼び名だと認識していた。 地理的に見て、徳之島が珍しい特異的な島であることを初めて知った。確かに以前から「徳之島は豊かだ」という感覚があって、土地の肥沃さ、豊富な水、農林水産業いずれにも適している島だと思っていたが、その理由が、山の島でもあり台地の島でもあり、石灰岩の島なのに川が豊富に形成されている特異な島であるが故だと理解した。 「<境界>地域という概念からひも解く奄美史」は、奄美群島全体を見通すのに大変わかりやすかったです。18

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