美大島在住奄 岡本 祥子さん24 実習を通して「不可能だ」と思っていたことが「実現可能だ」と実感するに至ったのは素晴らしいです。知らない他者とコミュニケーションを図ろうとするとき、私たちは慣例で話を進めがちですが、今はファシリテーション(〇〇しやすくする)やダイアローグ(対話)など、コミュニケーションをよりよくするための考え方やスキルが充実しています。それらを少し取り入れるだけで、通常の意思疎通が見違えるほど改善されます。 また、現代のように社会が複雑になり、不確実なことが多くなる、つまり一つの正解がない問題に対応するためには、多様な人の経験や考えをぶつけ合いながら、新しい考えやアイデアを生み出していくことがとても大事になってきます。すでにご自身の会社でも導入されているということですが、ぜひもっと実験を重ねて、一番よい方法をご自身で開拓されてください。行政と住民の良好の関係づくりにもきっと応用できるはずです。 社会教育主事は、国家任用資格ですので、全国に事例はたくさんあります。もしよかったら次のURLを一度訪ねてみてください。https://www.mext.go.jp/a_menu/01_l/08052911/what.html また、公民館がNPOや事業者等のハブ(中継拠点)となって人や組織をつなぎ、地元の方の学びたいことや必要な学びを新たに連携して創造する手法、それを支える考え方は沖縄県那覇市の若狭公民館が参考になるでしょう。https://cs-wakasa.com/kouminkan/ 次の図書もぜひ参考になさってください。公民館のしあさって出版委員会『公民館のしあさって』ボーダーインク、2021。(1)本日の講義で奄美環境文化実習を振り返り、改めて気づいたことや考えたことは何ですか。グループで話し合った内容も紹介しながら書いてください。(2)社会教育の考え方や方法について、実際に生かせそうなことやもっと知りたいことはありましたか。教えてください。R.4年 | 科目114 |社会教育経営論2小栗(1)実習だからこそ学ぶことができたことは色々あるのですが、その中でも私にとって最も大きなことは、「協働する」ということの意義とその方法論でした。まず、方法論についてですが、これまで「誰一人取り残さず」意見を聞いていくなんてことは不可能だと思っていました。小栗先生の講義や生涯学習支援論でもその話は取り上げられていましたが、一人一人の話しをくみ取ることなどできないし、同じ想いを持った人だけが集まって何かをすればいいのではないかと思っていました。 しかし実習の中で行っていたように、付箋に自分の考えを書き出してみるという手法をつかうと、発言が難しい人でもその言葉を可視化することができ、それを皆で共有し、くみ上げることができる。また、自分の言葉を可視化して、話しを聞いてもらったり、話を聞いたり、また1枚の模造紙の中に、皆の言葉(意見)を張り出し、その中に自分の意見も可視化してみえるだけでも、その問題に対する当事者意識が持てることが実際に体験してみて分かりました。この手法ならだれ一人取り残さないということも不可能ではないのかもしれないと思い始めています。今、実際に、私の会社内でもこれを実施しはじめて、いままで見えてこなかったスタッフの志向などをお互いに共有できるようになりました。これをさらに広げて、関わっている大学生や集落の人たちに広げてみる実験をしてみたいと思っています。 また、これまでは役場と連携していくことは、正直、煩わしいと思っていました。役場の論理や倫理感に納得がいかないこともあったので。しかし、井之川集落の例から、役場や学校などの公共機関と連携していくことによって、その文化なり残したいものを社会の仕組みの中に組み込んでいくことができるし、次の世代に繋げていくためにはとても必要な手段であることを学ぶことができました。 また、井之川集落を始め、実習で伺わせて頂いたどの集落でも、多くのステークホルダーが関わって、そこにある文化を残そうとお互いに連携しながら活動されているのを目の当たりにすることができました。その中に一緒に参加することができたことで、連携するというのはこういうことなんだと、実感としてイメージすることができるようになりました。それは、教科書や本や講義では決して得られない感覚で、まさに可視化できない人の心の繋がり方だったり、連携している人たちの熱量やその距離感などなど、他では得られない感覚を体験することができました。(2)社会教育主事という職の存在を初めて知りました。公民館講座だけではない学びの形があるかもしれないというお話は、目からうろこでした。 今、まさに社会教育課と子どもの体験事業を一緒にしていくことを話し始めたのですが。今回のお話しはもう一段レベルの高い話しのような気がしていて、今後目指す方向を考える上で非常に興味深い話ではあったのですが、具体的にイメージができなかったので。社会教育主事や民間の団体が、どのように地域の課題や学びを提供する場を行政と一緒に作っていくのか?具体的な事例があったらお聞きしたかったです。
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