界島在論島在住与 住喜 菊 凛太郎さん 大人の学習に関しては、通常の大学の講義でもする話ですが、菊さんの受け止め方は、日頃から感じているからこその実感の深さということを感じます。大人になるにつれて認識が固定化される事例として、「海」に対する認識の比較は秀逸です。小さいころから環境に規定されながら徐々に形成されていく認識がイメージできます。たとえば島民とIターン者、年配者と若者等の間で考え方の違いがあるという話はよく聞きます。大人の学習は、その考え方の前提にある「認識」を問い直し、相互理解を高めていくことにも寄与していけるはずです。 行政職という立場から「外来型開発」と「内発的発展」という考え方を現場でどのように活用出来るかという例をお示し頂いたと思います。いずれの概念も、地域の資源を(時に外の資源も)使って、いかに暮らしを成り立たせていくのかという点では同じです。違いは、その際に誰の願いをどのように実現していくのかにあります。講義を通して提供できるのは、対象を捉えるための枠組みや物事の考え方ですので、現実に適応させながらぜひ活用してください。 実習の振り返りの時間で出された集落ガイドをめぐる異なる意見から、「外来型開発」と「内発的発展」の考え方のさらなる応用がなされています。この問題を考えていく際の難しさは、実現したい目標が一つではないということかもしれません。「誰の願いを実現するか」といった際に、誰の声が聞けているのか、逆に誰の声を聞けていないのかも理解しながら、どこに共通項があるのかを探っていくことが大事になるでしょう。地域資源を持続的に利活用していくために必要なマインドをもって、榮さんはすでに思考をはじめておられると思います。本日の講義やグループの話し合いを通して確認したことや考えたことについて自由にお書きください。また、講義内容について質問や感想などもあればお寄せください。R.3年 | 科目113 |社会教育経営論小栗本日の講義やグループの話し合いを通して確認したことや考えたことについて自由にお書きください。また、講義内容について質問や感想などもあればお寄せください。 講義の序盤から心動かされるものでした。 私は、行政職です。振り返るとトップダウン型の「外来型開発」、開発行為でなくても行政主導の事業になっていることもあります。今後は、「目的」や「主体」「方法」を明確にし、住民に寄り添った業務を行っていきたいと考えました。 このレポートを喜界島実習を終えて書いています。いつも期限間近で申し訳ありません。 喜界島実習の最後の「振り返り」の時間に、①「外内さんのようなガイドは重要」②「集落ガイドは集落の役に立っているのか」という矛盾したような意見がありました。 今、振り返って考えてみると、①は「外来型開発」的な視点(?)②は「内面的発展」な視点(?)と似ているような感じがしました。②の考えについては、今後も考えていく必要がありますし、個人的に集落の方々にもお尋ねしたいと思いました。地域資源を持続的に利活用するために、行政の一員として重要なことを考えさせられる講義でした。R.3年 | 科目113 |社会教育経営論榮 岳海さん小栗 今回の講義を通して、改めてこの奄美教育プログラムを受講する意義について考えさせられました。 特に大人になってからの学習のあり方について解説なさっていた「自己主導型学習」と「認識変容学習」は、このプログラムだけではなく今後いろいろな講座や研修を受けていく上で、このことを念頭に置いて臨むことで、より内容の理解につながっていくのではないかと思います。 大人になると子どもの時のように「勉強しなさい」と言われることがなくなり、自ら興味関心を抱いたり仕事上必要とされる分野の知識やスキルを学習していくことが求められます。ただそこで無理矢理に学習するのではなく、「学習ニーズの把握→学習目標の設定→計画の策定→方法選択→学習活動→評価」、このサイクルを意識して学習を進めていくことの重要性を理解しました。 また「認識変容学習」については、特に本プログラムのような地域を学ぶ上では欠かせない要素になってくると思います。自分が生まれ育った環境に置いて、その人にとっての認識が形成され、大人になるにつれ固定化されていくことはごく自然のことです。例えば「海」に対する認識でも、与論島で生まれ育った私と東京で生まれ育った人とでは違うでしょうし、「奄美」という言葉がさす範囲についても、奄美大島に住んでいる人と、与論島に住んでいる私と、県外等に住んでいる人とではまたそれぞれ異なってくるかもしれません。 自分が思っている当たり前の認識が他の誰かにとっての当たり前ではない、そこには認識のズレが生じ得るということを理解した上で、自分の生活圏外の他地域を見ていくことでその地域の特色や自分が住んでいる地域を改めて見つめ直すことができるのではないでしょうか。 本プログラムはそうした視座を獲得できる貴重な機会であり、それを得られるだけでも受講する意義になると感じました。また一方でそうして得られた視座を、今後自分の仕事にどう生かしていくかといったところまで検討して行かなければならないとも感じています。25
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