奄美<環境文化>教育プログラムのしおり
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与論島の環境文化を学ぶ上で欠かせない博物館施設です。日本復帰後から十年余が経過、高度経済成長による家電製品等の生活文化が与論島にも押し寄せ始め、伝統的暮らしが急激に変貌していく中、菊千代さんは生活民具や方言、地名等の収集を丹念に続けていました。1966年に「与論民具館」として開業すると、その想いは息子さんの秀史さんご家族に引き継がれ、血脈の物語ともなりました。このリゾートの島にかつて営まれていた伝統的な暮らしを学び、郷土研究の原点に触れます。土着知に対する強い想い、そしてその結実としての圧倒的な資料群の集積に接し、わたしたちも学びの姿勢を正します。菊千代さんは、2019年1月19日逝去されました。城集落(与論町大字城)城集落(与論町大字城)30yoron-jimayoron-jima与論島観光客が訪れない島の内部には、古層のシマが静かに息づいています。城集落は、琉球国統治時代から薩摩藩統治時代にかけて役人層が居住し、与論島のかつて行政統治の中心地でした。与論島は湧水地が少なく、鍾乳洞を流れる地下河川を生活用水と利用する「クラゴー(暗川)」も、この城集落だけに認められます。そうした水利条件をふまえて、「与論城跡」がここに築城され、国重要無形民俗文化財「与論十五夜踊」の舞台ともなる神高い集落なのです。シマの長老・麓才良さんの案内で、シマの古層を訪ね歩きます。長老は、まるで最近の出来事のように伝承を語り、奄美群島に共通するシマの空間構造をフィールドで実際に学びます。

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