奄美<環境文化>教育プログラムのしおり
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与論島では、人口よりも牛の数が多いです。しかし、肉用牛生産の歴史は古いものではありません。そこには島のコミュニティと自然環境を活かした環境文化の知恵が秘められています。与論島では、サトウキビ農業、園芸農業、畜産の複合経営が行われてきましたが、肉用牛生産は小規模にとどまっていました。1990年代以降、サトウキビ農業の収益は伸び悩み、代わりに本土地域の3倍以上の速度で成長する牧草を活かし(資本と労働の投入量を抑制できる)、肉牛生産が飛躍的に増大しました。その一方で、水分が地下に浸透する石灰岩台地における畜産業の拡大は、飲料水や漁業等に影響を及ぼす部分も現われるようになり、環境文化的産業でありながら、同時に環境文化に負荷をかける側面もあり、島の生態系や産業利用の課題を畜産の現場で学びます。聖地の古層を残す神社で、与論島の精神世界に触れます。按司根津栄神社は、かつて琉球国の軍勢と交戦し、島民を守った 按司ニッチェ(根津栄)を祀る神社です。神社の右側(写真左側)には古くから拝まれていた祭祀の原形が残されていて、聖地の古層を目の当たりにします。立派な新社殿が建立されていて、シマを越え、大勢の島民から厚い信仰を集める対象であることを学び、仏教圏とは異なる南の島の精神世界をわたしたちは考える機会ともなります。yoron-jima31立長集落(与論町大字立長)西区集落・按司根津栄神社(与論町大字古里)

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