奄美群島が琉球世界の一員であることを圧倒的景観から体感してもらいます。「与論城」は、島の南側の石灰岩台地の縁辺部分の自然崖を利用し、サンゴ石積を廻らせて構築された沖縄型のいわゆるグスク遺跡です。列島南縁の中世城郭は、奄美群島の沖永良部島と与論島まで沖縄型のグスク遺跡が分布し、喜界島と奄美大島には本土型の山城が分布しています。眼前には沖縄島も眺望でき、発掘調査を担当する学芸員・南勇輔さんの説明に、わたしたちは否応なしに琉球史の世界に惹きこまれていきます。座学を体感できる実習の醍醐味あふれる史跡です。奄美群島北部では見ることができない発達したサンゴ礁地形を見学して、水温勾配の実際を感じてもらいます。奄美群島で最も南側に位置している与論島は、サンゴ礁地形が大規模に発達しています。島の東海岸に位置する大金久海岸の一帯には、幅2kmにも達するリーフが形成されています。海の白波がたつ礁縁ははるか彼方に見えて、喜界島・奄美大島・徳之島等に暮らす実習生たちは見たこともないリーフの規模に驚かされるのです。与論城(与論町大字立長)大金久海岸(与論町大字古里)32yoron-jima
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