奄美<環境文化>教育プログラムのしおり
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奄美大島は面積が大きいので、実習の移動にも時間がかかります。その際、車中から地形のロケーションを確認するようにしていました。国道58号線を通る時には、何度も渡る大型河川に注意を喚起して講義の復習です。奄美大島の地形は、標高の高い山地が中部の西側に偏り分布していて、その一帯を源流とする大川、川内川、住用川の大型河川は東側に長く貫流しています。多数の支流を持つため、島とは思えない非常に豊富な水量があります。他にも大型河川が多数あり、その数と水量の豊富さは徳之島も上回ります。河川が多い奄美大島では、秋になると産卵のために山から川に降りてくるマーガン(モクズガニ)の漁が盛んに行われていますが、住用町の川内川と住用川ではマーガン漁の漁場をめぐる入札制度があり、住用川では現在も行われています。旧暦9月9日の早朝に行われます。高い山と大型河川(奄美市住用町川内川)マングローブ群落(奄美市住用町大字山間)42amami-oshimaamami-oshima奄美大島世界自然遺産登録地(特別保護区)のマングローブ群落を散策します。奄美大島中南部を住用湾へ貫流する住用川と役勝川は、河口部分で合流し、広大な干潟を形成しています。この干潟には、日本で第2位の面積を持つマングローブ群落があり、世界自然遺産特別保護区となっています。国道58号線からこのマングーブ群落の全景を俯瞰することができますが、国内最大面積の西表島のマングローブ群落には全景を俯瞰できる場所はありません。そういう意味で、この全景の眺望は貴重であり価値が高いものです。あまり知られていませんが、国道58号線から降りていける奄美市が整備したマングローブ散策道があり、実際にマングローブ群落の中を歩いて学びます。マングローブ群落は、奄美群島では奄美大島だけに認められる植生で(徳之島天城町のマングローブ群落は移植されたもの)、オヒルギ群落とメヒルギ群落から成ります。そうした樹相の特徴等を散策しながら学んでいきます。大量の土砂が河口に堆積する傾向にあるため、この干潟地形は山間集落が位置する東側へ次第に拡大してきています。干潟の拡大に伴い、マングローブ群落も分布を拡げてきているのです(写真)。

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