奄美<環境文化>教育プログラムのしおり
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 鹿児島大学では令和2年度から、奄美群島(8つの有人島、12市町村、総人口104,088人(令和2年))に在住・移住予定の社会人を対象に、奄美〈環境文化〉教育プログラム(以下、教育プログラムという)の開発・実施、制度設計に取り組んできました。きっかけは、令和2年度文部科学省「就職・転職のための大学リカレント教育推進事業」の企画提案として、「世界自然遺産の好機を生かし、奄美の〈環境文化〉を付加価値化する先駆的な人材育成」を申請・採択されたことにあります。この事業は、コロナ禍における非正規雇用労働者や失業者等への支援として、キャリアアップにつながる教育機会の提供を高等教育機関に求めるものでした。  奄美〈環境文化〉教育プログラム原理(基本的な考え)は、立ち上げた動機にあります。当時、奄美群島では、奄美大島と徳之島の世界自然遺産登録を平成30年夏に控え、島外からにわかに人・物・金(資本)の流入が活発化。世界自然遺産登録により奄美群島の市場の価値が高まれば、外来資本が押し寄せるのは当然の帰結です。内発的発展論や地元学の思想に立てば、外の力を島の自立的発展の力に転換できること、すなわち、島民自身が奄美群島の価値や魅力を再確認し、何を守り、何を変えていくのかを選択しながら行動していくことが求められます。これをサポートする学びの機会の提供が最も根本にある考えです。自然保護と地域振興が調和する新たな地域づくり06〈学術的・国家的〉自然の〈地元住民〉自然の「環境文化」という思想が乗り越えようとする2つの問題①科学技術文明のもつ矛盾自然と人間活動のバランスの崩れ自然保護世界自然遺産的価値②地域的課題への取組生活文化・地域的価値奄美<環境文化>教育プログラムの背景

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